大人の発達障害とカサンドラ症候群と

大人の発達障害とカサンドラ症候群に本当に必要なもの

カサンドラ症候群にならないための5つの工夫[その4・35倍の法則に陥らないこと]

 

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アスペルガーの元夫とは、およそ10年も一緒にいたのにカサンドラ症候群が未満・未遂で済みました。ADHDの元スタッフとは半年程度しか一緒に働いていないのに強くカサンドラ症候群を発症しました。※完治まで数年を要しました
 
そこには明確な5つの違いがありました。

カサンドラ症候群にならないための5つの工夫[その4]スタート。

 

カサンドラ症候群が陥りやすい35倍の法則

 
前回の記事の終わりの方に、私はこのようなことを書きました。
 
 
適度な距離感を持たず、お互いに自立した時間を持たない2人はいつしか「共依存」となり、互いに苦しみ憎み合うこともあるのに離れられないという、悪しき状況を生みます。
 
 
療育・治療・トレーニングを受けていない発達障害者と向き合う、発達障害を持たない者の精神的負担と肉体的負担は少なく見積もって3倍です。その負担はあまりに大きいのです。
 
ですから息抜き、疲労抜きを定期的にしなければ、確実に心身が壊れてしまいます。そうなると家族や身近な人に発達障害者がいる場合は、間違いなく共倒れになってしまいます。
 

 

だからお互いの為に、適度な距離感と自立した時間が絶対に必要なのです。

 

 
 

皆さん、こんな話をご存じでしょうか? 

人は自分が受けた親切よりも、自分がしてあげた親切を35倍も記憶している。だから人は「あれだけしてあげたのに」「あれだけのことをしたのに」なにもリターン・見返りがない……などと
 
相手を嫌いになったり相手に負の感情を持ったり、悲しんでしまう。「あれだけしてやったのに!」と直接的には言わなくてもその気持ちを含んだ苦言・暴言や態度をぶつけてしまう。
 
 
私が「お互いの自立が大切」「先回りをしないこと」の重要性について書いたのは、カサンドラ症候群を発症しやすい人がまさに陥りやすい部分がココだからです。
 
 
 
 

アスペルガーの特性の「プラス面」は習得 → 自立が早い

 
アスペルガーの元夫ももちろん凸凹がありましたが、わりとレベル高くなんでもできる人でした。
 
興味を持ったものを徹底的に調べ尽くし、納得できるまで何度でも繰り返すことを苦とせず、セミプロの域までたどり着くことも多かったという発達障害の持つ特性のプラス面が彼をそのように育てたのだと思います。彼(元夫)は自立ができているアスペルガーだったと思います。

 
ですので、私が先回りをしてあれやこれやと手を差し伸べることはほぼありませんでした。よって「あれだけしてあげたのに、リターンが少ない!」「あれだけしてやったのに、何も分かってない! 感謝が足りない!」という思いに駆られることも皆無に近かったと思います。
 
だから私はそういったむなしさや悲しさ、腹立たしさからのカサンドラ症候群を発症しなくて済みました。※別の部分でカサンドラ症候群っぽいしんどさや疲れは――何度も――感じましたが(笑)
 

のちに雇い入れたADHDのスタッフには、あれやこれやと先回りして手を差し伸べ過ぎてしまったので
 
「これだけしてもまだ分からんか……」
「あれだけ教えたのにまた忘れたのか……」
 
と前述した35倍の法則の通りに私は心を病みました。カサンドラ症候群を本格的に発症させ、入院~完治までに数年の時間を要しました。
 
 
 
 

発達障害の子ども向け「声かけ変換表」

 
もちろん、お子さまに発達障害の特性が見られ、療育を始めたばかりだったりすると、自立を促すよりも手を差し伸べたくなるでしょう。ただでさえ子育ては危険と隣り合わせですから。
 

ところで、2015年に話題に上がった「声かけ変換表」をご記憶・実際に今も参考になさっている親御さんは多いのではないでしょうか?[楽々かあさん公式HP]より
 
 

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こちらの発達障害の子ども向け「声かけ変換表」は本当に素晴らしいものだと思います。お子さんの自立を促すことのできる、とっても良い声かけ。
 
出来ないことを出来るようにすること・出来るようになることも当然大切だとは思うのですが、お子さんの自立って「出来ることを増やすこと」「出来ることを増やして自信を育てること」なんじゃないかな って大人の発達障害トレーナーの私は思うのです。
 

これは大人の発達障害者にとっても同じく重要なことですが、子どもならなおさらです。
 
アスペルガーの元夫は、「俺は物心がついた頃からフライパンでウインナーを焼いていた」「おにぎりをつくっていた」「小学5年の頃には味噌汁もつくっていた」とよく言っていました。もちろん傍にはお姉さんやお父さんがいらしたようですが。
 
医療者であるお母さんが、夜勤や当直を終えて帰ってきた時に食べられるようにとの思いで作っていたそうです。こういった経験と「よくできたね!」「おいしいよ!」「ありがとう! 嬉しいよ!」などの大人からの声がけが、彼に自信を与えたのは当然のこと、出来ることを増やしていったようだと義父母や義姉から聞きました。
 
 
 
 
 

手を差し述べる準備は万端、でも先回りは様子見で

 
正直に言うと……いつだって手を差し伸べたい衝動に駆られます。大人の発達障害の特性を持つ生徒達に指導をしていると。
 
「Aはどうなった~」
「Bを忘れてるんじゃないの~?」
「先にCからやる方が効率はいいんだけどな~」
 
 
なんて口を挟みたくなること日常茶飯事です。「Bを思いだすように手を差し伸べようかな~」「Cに気づくようにこの資料を見せちゃおうかな~」なんて思うこともしょっちゅうです。※資料は個々の特性やトレーニングの進み具合に合わせて、事前に個別に作成しています
 
 
でもそんな風に先回りをしてしまうと、彼らの自立の妨げになるだけでなく私はまたカサンドラ症候群になってしまうのでグッと我慢。ジッと我慢。
 
 
カメラの向こうで――トレーニングはLINEのビデオ通話・スカイプのビデオ通話で行っています――ジタバタしていたり、テンパっていたり、『無』になって固まって動かなくなった様子を見てようやく
 
「どうしたー?」
 
と、手を差し伸……利き手の中指をちょっとだけ差し伸べる感じで声を掛けます。
 
 
 
 
 

カサンドラ症候群になった私がしていたこと

 
  1. 自立できるように見守る
  2. 自立できるようにアシスト(適切なパスやヒントを出す・声がけ)する
  3. 先回りして手を貸さない/自立の機会の邪魔をしない
  4. 100点じゃなくても、頑張ったことに対してきちんと褒める
 
 
上記4つは、私がカサンドラ症候群を発症させることになった直接的要因の、ADHDのスタッフに対して出来なかったことです。
 
口を挟み・手を貸し・手を伸ばし・手を掴み
先回りをいくつもして、ADHDの彼女の自立の邪魔をしました。

 
「善かれと思って、感謝されると思って、ここまでしてあげる私って優しい! いい上司に違いない! って思いながら」彼女の自立の機会を奪っていました。
 
だから彼女はいつまでも100点を出せなかった……というか、ほとんどのことを最後までやり切ることができなかった。教わったそばから忘れ、叱られては委縮し、さらに出来ないことを増やしていきました。そして私はカサンドラ症候群になりました。
 
 
逆説的ですが、あの地獄の苦しみを味わったカサンドラ症候群を経験したから言えること。それはカサンドラ症候群にならないためには、カサンドラ症候群を治癒に導くには発達障害を「学ぶこと」なんですよね。もちろん、苦しさの峠を2つ3つと超えてからですけど!
 
そして、その上で――
 
  1. 自立できるように見守る
  2. 自立できるようにアシスト(適切なパスやヒントを出す・声がけ)する
  3. 先回りして手を貸さない/自立の機会の邪魔をしない
  4. 100点じゃなくても、頑張ったことに対してきちんと褒める
 
 
これが結局、『わが身をカサンドラ症候群から守る術になる』んだってことを日々痛感しています。