大人の発達障害とカサンドラ症候群と

大人の発達障害とカサンドラ症候群に本当に必要なもの

どうしてアスペルガー夫とは「笑いのツボ」が違うのか、笑いどころがズレるのか~こうして妻はカサンドラ症候群になる~

 
交際していた頃、夫婦だった頃には、夫がアスペルガーだったとは知りもしませんでした。アスペルガーや発達障害という言葉さえ知りませんでした。
 
「ハイスペック」な人って「変わり者が多い」というイメージでしたし、私自身が当時ヘアメイク&スタイリストとして芸能界で働いていたこともあって「個性が強すぎる芸能人や制作人」を見過ぎていたため、奇妙奇天烈な人に慣れていた部分もあったかと思います。

 

 
そんな私ですら理解に及ばなかった元夫の行動の1つが、すでに記事として挙げた「長蛇の列でも気にせずに、時間をかけて1円単位で支払うシリーズ」なのですが、まだまだありますので一挙ご紹介します。
 
 
 
 

同じタイミングで笑えないアスペルガー夫

 
私はお笑い番組が大好きで、彼(元夫)はドキュメンタリーの要素を含んだ「子どもから大人までが楽しめる分かりやすい」番組を好んでいました。
 
お笑いって、分かりやすいコントもあれば、行間の妙というか空気の妙が生む笑いもあれば、シュールさや毒っ気など"分かる人にはわかる好みの差"に左右されるものなど多岐にわたります。多少の好き好きはあれど、私はどんな種類のお笑いも基本的には――尊敬の念を持って――楽しく見ていましたし笑っていました。
 
しかし、元夫は違いました。
 
隣りに座ってTVを見ていると腹が立つこと限りなし。「今なんで笑ったの?」「今のはどこで笑うの?」「なんで今のところでアンジも皆も(※)笑ってるのか、どこが面白かったのか説明希望!」とうるさい、うるさい、鬱陶しい。
 
ちなみに上記の皆(※)というのは、例えばワイプの中に映ったタレントやSE、その画面の中にいる他の芸人さん達を指しています。彼がどんなに煩わしくても番組は進行していくので、結局、なんの番組だったかな……今日も全然楽しめなかったな……と思わされてばかり。
 
 
 
 
 

笑いどころがわからないアスペルガー夫

 
あまりにも煩わしいため苦肉の策として、私が見たい番組はすべて録画するようにしました。後で何度でも見返せるように、話しかけられたらpause(一時停止)ができるようにしていました。
 
しかし、元夫は私より上手でした。録画されたものを見ている私の隣りに「リモコンを片手に握りしめて」座ったかと思えば――。
 
 
  • 一時停止ボタンを押して→「今なんで笑ったの?」
  • 一時停止ボタンを押して→「今のはどこで笑うの?」
  • 一時停止ボタンを押して→「どこが面白かったのか説明希望!」
 
 
と仕掛けてくるんですよぉ、真顔で!! 初めの頃は鬱陶しさやわずらわしさを覚えながらも説明していました。でも、笑いを説明するのってすごく大変なんです! 
 
だってそもそも笑いのツボが違うから分からないわけでしょ? 分かってない人にどれだけ説明しても返ってくるリアクションは
 
ふ~ん
 
なんですよ! 説明のし甲斐がないというか糠に釘というか暖簾に腕押しというか、なんともいえない虚しさが残るんですよね……。毎回毎回この「ふ~ん」の為に一時停止され説明を求められる面倒くささ。
 
  • 分からないなら黙っとけよ。
  • あなたの楽しみを私は奪っていますか?
  • 奪ってませんよね……?
  • だから、私の楽しみを奪わないでもらえませんか?
 
 
同じものを見て同じように笑えないことは、悲しくもなんともなかった。だけど私の楽しみを奪われることは苦痛でした。いちいち説明しなきゃいけないことも、面倒に思いながらも説明をさせられて返ってくるリアクションが薄いことも苦痛。苦痛は瞬く間に嫌悪や憎悪へと姿をかえます。
 
 
 
 

同じ目線でテレビを楽しめないことは正義か悪か退屈か

 
私は彼がいない時に、私の好きな番組を見るようになりました。
誰にも『邪魔されない時間』に好きなだけ笑えることは幸せでした。
 
彼は、私が大好きだったはずのお笑い番組を自分と2人で居る時に見ていないことに気づいていないようでしたが、そんなことはどうでもよかった。邪魔されないことがなにより幸せでした。
 
 
 >彼(元夫)はドキュメンタリーの要素を含んだ「子どもから大人までが楽しめる分かりやすい」番組を好んでいました。
 
 
番組名を挙げるのは差支えがありすぎるので控えますが、上記にあてはまる現在も続く2つの人気番組と、ドキュメンタリー系の旅番組を彼は殊のほか気に入って見ていました……いいえ、私にも一緒に見るように求めていました。
 
 
"空気間"やお笑いアンテナの感度で分かる人・分からない人の差が出るバラエティとは異なり、幅広い層の視聴者に分かりやすいように丁寧に作られた番組はあまりに「毒気」がなく
 
解釈を視聴者に委ねる「自由な幅」がないため、平均的に面白いんだろうけど、私には退屈でもありました。
 
  • 派手なアクション映画を好む男性にとって、恋愛映画が退屈なように
  • 心理サスペンス系のドラマを好む人にとって、イケメンが大勢出てくる学園ドラマが退屈なように
 
どちらが良くてどちらが悪いわけじゃなく、元夫は私の好むお笑いに理解が及ばず、私は元夫の好むドキュメンタリー系バラエティに退屈を覚えるというだけの話。
 
それぞれが自分の好みを堪能すればいいと思うんだけど、これまでにも書いてきましたように元夫は「アンジを理解しなければならない」となぜか思い込んでいたため、アンジこと私の笑った理由すらをも詳細に知りたがっていました。
 
それがどれだけ私にとって疲れるものであるか、嫌悪や時には憎悪の感情すらも抱いてしまうものであるのかは、まったく思いも及ばないようでした。
 
 
 
今思うと……空気を読めない・空気を読むのが苦手とされる発達障害の特性を持つ彼にしてみれば「子どもから大人までが楽しめる分かりやすく」制作された番組は、制作側のもくろみ通りまさに分かりやすく楽しめたのだと思います。
 
 
一般的に言われているように、多くの女性は好きな人と同じものを見て同じような感情を持って、共鳴・共感したいと思うものなのかもしれません。
 
だから元夫はふつうの女性はそういうものだ!」→「アンジの笑いのツボに共鳴・共感しよう! そうすればアンジは喜ぶはず、ふつうの女性と同じように!」と考えていたのかもしれません。
 
  • きっと悪気なんて1つもなかったのだと思います。
  • そのくらい私を好いていてくれていたのだろうと思います。
  • 「笑い」を理解・共有しようとすることは、私への強い愛情表現の1つだったのでしょう。
 
 
けれど、そんなものを求めていない女性も"あたりまえに"いるんだ――ということが、アスペルガーの特性を持つ元夫には分らなかった。
 
自分の得意とする分野以外では「臨機応変・ケースバイケース・当意即妙が極めて不得意」という特性は、こういった場面にも顕著に出ていました。そういえば恋人同士になって初めての旅行でも――。
 
 
 
 
 

馬鹿がつくほど馬鹿正直~素直・率直という人を傷つける『刃物』

 
彼(元夫)と恋人になり初めての旅行。方向音痴だという彼がナビを見るでもなく、よどみない運転で現地まで一直線。宿泊先の「星のついたいいホテル」での受付・振る舞いもやけにこなれている。
 
もしかして……? と思った私は冗談半分にたずねました。「今までの彼女とも来てた?」すると彼は顔色ひとつ変えることなく「うん。いつもここだよ。よく分かったね」と返事。
 
幸か不幸か私という人間はこういう部分にやけにあっさりとしていて、嫉妬したり、こみ上げる怒りに無口になるタイプではないため、喧嘩になることも空気が悪くなることもありませんでした。
 
 
でも、元夫に今さら教えてあげたい。
 
元夫よ、あなたの好きな「ふつう」を教えてあげるよ。ふつうはね? たとえ過去の彼女と利用したことがあったとしても、それを隠し通すんだよ。

それがふつうの思いやりだし、余計な揉め事を起こさないすべであり、なにひとつ悪いことをしていない相手を唐突に傷つけない方法だからです。
 
特性上、隠し通せないなら……きかれたことに、律儀にありのままに即答してしまうなら旅行先そのものから変えた方がいいのよ。
 
 
正直・素直・率直が喜ばれ可愛がられるのは子どもだけ。
 
好かれ愛され、数多の人達から必要とされる大人は「嘘も方便を使い分けられる人」。嘘を吐けってことではなく、嘘がうまくなれってことでもなく、相手を傷つけないための嘘を吐ける人のことをこの世では「賢い人」と呼ぶのよ。
 
 
 
 

怒らない人・注意してこない人が優しい人?!

 
こういったことは交際中にもたびたびありましたが、その度にふつうの女性達のようにいちいち拗ねたり怒ったりしない私が、彼にとっては非常に居心地が良かったのでしょう。
 
アスペルガーの特性を持つ生徒達からも「アンジ先生は、ふつうの人が怒りそうなことでも怒らないからやりやすいです」と謎の上から目線で褒められます。ん? 褒められてるの?!
 
 
アスペルガーやADHDの特性を持つ生徒達と話していると、「怒らない人=優しい人」「注意してこない人=優しい人」という単純思考があることに驚かされます。

 
怒ったり注意をすれば、(あなたに)嫌われるかもしれない。
 
それでも、嫌われることよりも……あなたがよそで恥をかいたり、よそで呆れられないように、よそで迷惑をかけないように、強い責任と深い愛情を"隠し持って" 怒ったり注意をしている。だから怒ったり注意をする愛情深い優しい人がカサンドラ症候群になるんだよ。
 
 
 

【3/21 新着】トレーニング申し込み・初回カウセリング受付

 
 
  • 大人の発達障害(ADHD/アスペルガー)トレーニングコース…定員オーバーのため受付停止
  • 大人の発達障害(ADHD/アスペルガー)マネージメントコース…3枠のみ空き
  • カサンドラ症候群の定期カウセリング・トレーニング…2枠のみ空き
 
 
3月17日より受付を再開しておりましたが、多数の応募をいただきました。ありがとうございました。