大人の発達障害とカサンドラ症候群と

大人の発達障害とカサンドラ症候群に本当に必要なもの

アスペルガー夫とのあいだにずっとあった、交わることのない「境界線」

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私自身がカサンドラ症候群になってカウセリングを受けていた頃、主治医とトレーナーに言われたことがあります。それは「誰しもが自分の言動をふつう、正しい、常識的だと思っている」
 
だから「発達障害を持った人に向き合った時に、ふつうは○○する。××するのがふつうという注意の仕方はなんの意味も持たない。プライドを傷つけたり反発心を持たせてしまうだけ」ということでした。
 
 
ちなみに前回の記事の中で両親からの教えとして挙げた「自分の常識は他人にとっての非常識、逆も然り。個々の常識を重んじながら、すり合わせ歩み寄ること。それが譲歩・思いやり」の常識という単語は『ふつう』という言葉に置きかえることも出来ます。
 
 
私のトレーニングを受けているアスペルガーの特性を持つ生徒達は「ふつう」か「ふつうでないか」にやっぱり過剰なほどのこだわりを持っています。これについてはまたいつか詳細に書きたいと思います――。

 

 
 

想定外・予想外の出来事に「適切な対応」ができず固まる

 
アスペルガーの元夫との恋愛・結婚生活において理解に及ばなかった多くのことも、大人の発達障害トレーナー/カサンドラ症候群カウンセラーとなった今は「あぁ……あれは特性だったんだな」と分かります。
 
前回の記事からの続きになりますが、彼(元夫)の「メールには絵文字を使ってほしい攻撃」が理解出来なくて辟易した私は、書置きを残してひとり旅に出ました。
 
 
 
旅の途中で彼の姉と妹それぞれから「兄(弟)が固まって動かない! なにがあったのか?!」と緊急連絡が入った――ということまでが前回の内容でした。
 
 
 
彼に残した書置きの内容を一言一句正確に覚えているわけではないのですが、概ねこういった内容だったかと思います。
 
 
  • あなたの求める"ふつう"を押しつけられることに疲れました
  • 私はあなたとどうしたいのか
  • 私はあなたを好きだと思っているのか
  • 私はあなたと添い遂げたいと思っているのか
  • 自分の中に答えを見つけるべく、しばらくひとりで考えます
  • 1週間程度で戻るつもりなので過分な心配は不要です
 
 
彼には交際以前~交際当初から"ストレスが溜まるとひとり旅に出る""趣味はひとり旅だ"と散々言ってきたので『ひとり旅に出た』とわざわざ書かずとも想像がつくだろうと思っていたのですが、
 
彼が発達障害を持っていると分かった今なら……上記のような置手紙ではそりゃパニックになって固まってしまうだろうなと(笑)。なにより他ならぬ自分が私のストレスの元凶になっているだなんて想像もしていなかったことでしょうし。
 
もしかすると当時の私は、彼に反省させたいという思いから、あえてひとり旅と書かなかったのかもしれません。ちょっと心配して盛大に反省しろ! くらいに思っていたのかも。
 
 
アスペルガーの特性のひとつに挙げられるものに「予想もしていない出来事が起きた時に、その事態に適した対応をするのが苦手・頭の中が真っ白になる」「変化に即座対応するのが不得意」などがありますが、まさにそれだったのだと思います。
 
彼は私を追いかけよう・探そうとしたようですが――本人談――行先も分からず、私が向かいそうな場所にも見当がつかず、車に飛び乗ったまではいいけれど何をどうすればいいのか、どこから何に手を付ければいいのか、頭の中が真っ白になって停止してしまったのだそうです。
 
で、ハンドルを握ったまま数時間動けなかったと。もちろん会社にも行かず。※フレキシブルタイム制が導入された会社だったので問題なく。
 
 
旅先で当時の私がどれほど多くの深いため息を吐いたのか……今では記憶にもありませんが「戻ったら別れよう」と思ったのは間違いありません。
 
大の大人が、大人の男が、彼女がひとり旅に出たくらいでパニックになって身動きが取れないだなんてどうかしてる、異常だし、怖いと思いました。彼の執着が恐ろしく思えたというのもあります。
 
 
 
 

執着も理解もいらない、ほしいのは「同じ目線で分かりあえる、ふつうのこと」

 
彼は交際当初からずっと「俺はアンジを理解する」「俺だけがアンジを理解できる」「アンジのことは理解しなければならない」とよく言っていました。
 
彼は私を帰国子女で日本の常識を知らない"ふつうではない"不可思議な存在として見ていました。ですので頻繁に「アンジのことは理解しなければならない」と繰り返していました。そんな風に言われるたびに、胸に引っかかるものがありました。
 
 
  • 私という存在はそんなに難解なのか?
  • 恋人同士って「分かりあうもの」ではないのか?
  • 人間同士って、片方がそんなにも努力をしてもう片方を理解しなければならないものなのか?
 
 
元夫と交際をするまでにもいくつかの恋を経験しましたが、誰一人として私を難解に扱ったことはないと思います。もちろん私自身も過去の恋人を理解しなければならないものとして見たことなどありませんでした。
 
生身の人間同士、少しずつ分かりあっていくのではなく、難問を解くように、研究対象のように見られる居心地の悪さは元夫といる間、いつも感じていました。
 
彼は私を愛していると言っていたけれど、彼のいう愛は『執着』だったように思います。彼の私への『執着』は、彼を知る人たちから
 
ANJI-addict/アンジ中毒
 
と揶揄されるほど強く、「こんなにも愛されているのに文句をいうなんてどうかしてる」「浮気をされたことのある人間からすれば、あなたの悩みなど贅沢極まりない」
 
「過剰な愛情なんて3年も経てば落ち着くのだから、それまでの我慢。それが過ぎれば、生活には困らないし一生安泰だよ」と口々に言われていました。
 
だから私の我慢が足りないのかしら? 私は贅沢なのかしら? と、周囲の無理解にも寂しさを感じていました。カサンドラ症候群になってしまう人の多くが、こういった周囲の「悪気のない無理解」の憂き目に遭っています。
 
私自身の経験からアドバイスするならば、悪意のない無理解は次第に自分を壊す強い毒になっていきます。だから、自分の勘を信じて・違和感に従って自分が正しいと思う行動に出てほしいです。
 
 
 
 
 

アスペルガー彼氏(のちに夫・元夫へ)との別れ話は3つの理由ですすまない

 
彼(元夫)との別れを考えたひとり旅から戻った私ですが、別れることはできませんでした。その理由は「見捨てることができなかった」などという優しく立派なものではありません。
 
  1. 別れ話が平行線をたどったきり、まったく交わることがない
  2. 私の気が変わるまで、私が別れないと言うまで、部屋のドアの前に座り込んだ彼が動かない(6時間でも8時間でも一晩中でも)
  3. 私が1週間のひとり旅から戻ってきたら、彼はスーパー家政婦と化していた
 
 
アスペルガーとカサンドラのパイオニアといっても過言ではない、西城サラヨさんのご著書『マンガでわかるアスペルガー症候群&カサンドラ愛情剥奪症候群』の88ページに離婚調整がまったく進まないといった記述がありますが
 
 

 
 
本当に「別れ話が平行線をたどったきり、まったく交わることがない」んですよね。こちらは別れたい理由を、できるだけ感情論抜きでロジカルに伝えているんだけど、右の耳から言葉が入ってそのまま左の耳から抜けていくのかな? っていうくらいまったくもって伝わらない(笑)!!
 
 
それでいて寝室のドアの前に座り込み、私が「わかったよ、別れないよ」と前言撤回するまで動かない。ひとりストライキ。
 
自分がいかに私を必要としているか大切にしているか愛しているかを滔々と語ったかと思えば、胡坐をかいたまま魂が抜けたかのようにぼーっとしたり。容姿が過剰に良いだけにその様は、充電満タン → 充電が切れたロボットを見ているようで、なにやら薄気味悪かったです。
 
 
もっとも気味が悪かったのはたったの1週間で、スーパー家政婦と見間違うがごとく、家事のレベルが格段に上がっていたことでした。のちに彼自身が語ったところによると「彼女や妻が離婚を言い出す時はたいてい、家事分担への不満が募っている」と書かれた記事をインターネットで多く読んだのだそうです。
 
「アンジがひとり旅に出た理由はこれだ!」
 
と確信を得た彼は、学生時代の一人暮らしで手に覚えた「男の料理」「男の家事」のレベルアップをはかれば私の気持ちは変わるはず! と猛特訓をしたんだとか。
 
アスペルガーの特性のひとつでもある「自分が興味を持った分野、好きなジャンル・こだわりを持ったモノには並々ならぬ情熱を燃やし、尋常ならざる集中力で以ていともたやすく難関を突破する」が、いかんなく発揮された例と言えましょう。
 
 
……でもそこじゃないんだよ。
大小さまざまなことの積み重ねで「そんなあなた」に疲れたんだよ。
 
 
 
 
 

アスペルガーの彼・夫と私の間に見える「境界線」は永遠に

 
人と人って「マーブル模様」みたいに、すこしずつ混ざり合って分かりあって、自分達の模様を描いていくものだとずっと思っていました。少なからず元夫以外とはそんなふうに恋をしてきましたし、友人達ともそんなふうにして絆を深め合ってきました。
 
でも元夫と私との間には出会ってから別れるまでずっと「境界線」がありました。
 
線そのものは太くなったり細くなったりはする。けれど線がなくなることは、ただの一度もなかったように思います。でもその境界線は私には見えるけど、彼には見えていないようでした。
 
 
 
 

【再開のご案内】トレーニング申し込み・初回カウセリング受付

 
応募多数につき一時停止しておりましたトレーニング申し込み・初回カウンセリング受付ですが、3月17日(日曜日)朝10時から受付再開とします。
 
尚、若干名の空きしかございませんので定員オーバーになり次第、再度受付停止と致します旨、ご了承くださいますようお願いいたします。